こんにちは、キヌーナです🙃
前回の記事の続きになりますが、また田中みな実さんの好きな本を読んでみました。
今回の『落下する夕方』は田中みな実さんが”特に好きな本”だということで、期待が高まります。雑誌のインタビューで聞かれた時にふっと出てくるなんて、相当お気に入りなのでしょう。
この本は映画化もされていたので、そちらも観てみました👀
目次
田中みな実さんの好きな本
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田中みな実さんおすすめ本はマキアのインタビューで回答されていました。
Q.今まで読んで良かった本や影響を受けたものなど、オススメを紹介してほしい(会社員36歳)
A.江國香織さんの作品が大好き!
中でも『落下する夕方』っていう本が特に好きです。華奢で透明感のあるつかみどころのない主人公の女の子のようになってみたいと思ったり。あと、『おそ夏のゆうぐれ』では、愛してやまない男性がナイフでそぎ取った親指の薄い皮を、彼女がうっとり食べる、っていうくだりがあるんです。すごくその気持ちがわかるし、それくらい情熱的な恋愛に憧れるロマンチストさんです(笑)。今読んでいるのは恩田陸さんの『木洩れ日に泳ぐ魚』。
江國香織さんの『落下する夕方』を読んだ感想
江國香織さんの本は『おそ夏のゆうぐれ』を読んだときにも感じましたが、とにかく情景の表現が美しい。
『落下する夕方』ではなんでもないような毎日から始まるのですが、なんでもない日々の季節、空気、雨、香り、花…
足の指の間に夜風があたる、あの雨上がりの湿った感じ。
そんなことしたこともないのに(笑)、あたかもしたことがあるかのように私の感覚に呼びかけます。
序盤は「面白みがない」と感じるのだけど…
正直この本を読みはじめてすぐは、「最後まで読み切れるかな?あまり面白くないかも…」と感じていました。
だって、序盤は彼にフラれた主人公(梨花)が、それでもまだ彼のことを忘れられずにいる。どこにいても何をしていたって、彼との記憶を鮮明に覚えている。
そんな未練がましい女の話かと思ったのです。
「ああ、田中みな実さんもそんな恋愛だって言ってた気がするな。だから共感したのかな」なんて思っちゃって、私のような1日寝たら忘れる能天気人間にはちょっと重く感じたのです。
彼にフラれた原因が「他に好きな人ができたから」だというのに、その新しい恋さえも応援してしまう梨花。「別れても好きだから、彼の幸せを願い続ける。彼が不幸になるのが1番嫌だ。」そんなふうに思えるでしょうか?
華子の魅力に惹きつけられる
「彼が好きになった人」こそ、この話のキーパーソンであり、主人公も彼も、周りの人間も子供も、そして私までもがその魅力に惹きつけられてしまうのです。
田中みな実さんがインタビューで
華奢で透明感のあるつかみどころのない主人公の女の子のようになってみたいと思ったり。
と答えていますが、これは主人公(梨花)ではなく、華子のことだと思います。
一見わがままで不作法で、人の迷惑を考えず自分勝手なように見える華子。そんな華子と梨花はなぜか同居することになるのですが、はじめは華子に嫌悪感を抱いていた梨花が、少しずつ変わっていく姿があります。
毎日規則正しく生きてきた梨花と、毎日その日暮らしでゆうゆう自適に生きてきた華子。
この2人の友達でも他人でもない、親子でも姉妹でもない、絶妙な距離感を保った生活が淡々と流れていきます。
羨ましいような、羨ましくないような
自由自適に過ごす華子をどう思うだろうか?
はじめは羨ましいと思う。毎日ゴロゴロしているだけ。好きなときに寝て好きなときに起きて、お腹が空いていれば何かを食べて、またゴロゴロする。
それでいて、華子に恋心を寄せる男は絶えない。モテモテなんです。
細くて華奢で、透明感があり、子供のような華子にみんな惹かれていく。だけど、本人は全然幸せそうじゃない。
「逃げてばかり」
だという。いつだって「帰る場所がない」のだと。
「幸せは自分の中にある」とかいう、そのへんで語られる飽き飽きとした言葉を思い出す。そうだ、いつだって幸せは自分の中にあるのだ。
幸せそうな何かになるのではなく、誰かに「幸せそうだね」と言われることでもなく、幸せはいつだって自分が決めるものなのだ、と改めて気づかされる。
意外なラスト。でもスッキリ
中盤、「この本は一体どう終わるつもりなんだ?」という気がしてならなかった。どう転んでも、いい終わり方ができると思わなかったから。
だってそもそも「フラれた男をずっと好きなままでいる女の話」というのは変わらないし、そこに華子が登場したところでどうなる?と思っていた。
だけど、最後は悲しく、寂しく、でも悲しくない、暖かい、生ぬるいような、とても複雑な気分になる。複雑なのに、なんだか心は穏やかで、まるで梨花の心が私の心に入ってくるよう。
序盤に美容室でシャンプーをしてもらっている梨花。終盤にもまた、美容室でシャンプーをしてもらっている梨花。同じ状態であるのに、心の中はまるで別人に生まれ変わっている。
江國香織さんの描写が美しいんだ
私はこの本を読んだところで生活がどうこう変わるとか、心の中が変わるとかは特にない。
ただただ、江國香織さんの流れるように描かれる情景の描写にうっとりし、華奢で透明感があり不思議ちゃんな華子に少しだけ憧れ、そして毎日ちゃんと、丁寧に生きている梨花にも憧れる。
もっともっと江國香織さんの本が読みたい。彼女はどんな表現を使い、どんな描写をし、どんな言葉が書くんだろう?それを読んで、私はどんな景色を想像するだろう??
映画はHuluで観れる!華子役は菅野美穂さん
『落下する夕方』は映画化されており、主演は原田知世さん、彼は渡部篤郎さん、そしてそして、1番気になった華子役は、菅野美穂さん!!!
うお〜〜!ぴったり〜〜〜!!これは観たい!
以前菅野美穂さんが弾丸トラベラーという番組でスウェーデンのオーロラを見に行くというのをやっていて、それを見て「すごくピュアで自由気ままでかわいげのある人だな」と思っていたのです。
これはもう華子そのもの。菅野美穂さんほど華子役に合っている人っていないんじゃない?
ってことで、すぐさま観ましたよ〜!Hulu会員でよかった。
20年前の映画なので、
原田知世、美人!
渡部篤郎、若っ!
菅野美穂、かわいい〜〜〜!!!!💕
と大興奮してしまいました(笑)菅野美穂さんの20そこそこの、いっちばん可愛らしい時期。
なので本だけでは気づきにくかったけれど、
「こんな自由気ままに生きててわがままで奔放でも愛されるのは、見た目がかわいい子だけ」
という至極まっとうな答えにも行き着きついてしまいます…😑
私のような普通の人間は、華子ではなく、毎日しっかりした生活を送り、面倒見のいい梨花をお手本にしなきゃいけないですね。
華子の良さが伝わりきっていない
映画になると2時間で完結しちゃうわけですから、オリジナルストーリーが入っていたり、内容が変わっている部分は仕方がないと思うけれど、華子の魅力が伝わりきっていないのがぁ〜!!!😫
もっと華子を伝えて〜〜
華子ってもっとこういう子なんだよ。こんなこともあってこんなこともあって、あの時はあの華子があんなことまでしてくれちゃってさ〜。と、もっと華子を伝えてほしくてたまらなくなりました。
まだ華子を伝えきってないのにラストにいっちゃうんだもん。いや違うぞ。と。華子はもっとすごいぞ。と。
華子大好きになっている自分に気づく(笑)
20年前の暮らしってこんな感じだったな
そして映画を見てしまうと、もう頭の中で描いていた2LDKの部屋や、海や、別荘は、もう映画に出てきたものに上書きされて消えてしまいます。
それが少し寂しいけれど、それでも20年前の生活感あふれるマンションの中を観られるのはワクワクした。
20年前というとPHSが流行りだした頃で、携帯電話を一人一つ持つよりちょっと前くらい。(映画公開されたときはもう広まっていたかもだけど、原作が書かれたときにはまだ家電の時代)
映画の中で出てくるFAXは懐かしさの極みだったし、携帯電話が一度も出てこない生活が、そこには普通にあった。携帯電話のない、ゆったりと流れる毎日に憧れた。
まとめ
前回『おそ夏のゆうぐれ』にはチョコレートが出てきて、すぐにでもカレドショコラを食べたくなってしまった私。
今回は、セブンアップが飲みたいです!!!(笑)
梨花の家の冷蔵庫にはいつもセブンアップが入ってるんですよ。そして事あるごとにセブンアップを飲んでいて、セブンアップを飲んだことがない私はどんな味だろう?と気になってしまいました。
確かコストコのフードコートにあったので、今度飲んでみようっと。
ぜひ本で読んで
はじめにも書きましたが、江國香織さんの情景描写はうっとりするほど美しいです。なので映画でなく、本で読んでみることをおすすめします。
日本のジメジメした梅雨でさえ、風情を感じて好きになってしまいそうです。